先日,本名名義の方でKlis RadioというCDを作りました.同人CDの制作に軽く関わった経験は何度があったのですが,自分で1からCDを作るのは初めてでした.
今回は無料で頒布したためよく製作費用について聞かれたのですが,あまりお金はかかってません.企画の位置づけなどの関係上経費として落とすことも可能だったとは思うのですが,制作者2人の持ち出しでも十分賄える金額だったのでポケットマネーで制作しました.

話が逸れて実費ではなく労力の話ですが,あまりかっちり決まっていない仕事やバイトだと「いくら欲しい?」と聞かれることが稀にあります.あまりに安い値段で請け負うと本人ばかりか業界にとっても損失(いわゆるダンピング)となるので,なるべく適正価格でやり取りをするのが一番良いことに疑いの余地はありません.
しかし,当然素人に相場など分かろうはずもなく,発注者のみが得をするという不健全なケースを散見しています.

そのため,相場などの話は問題が出ない範囲ではガンガン公開し,広く共有すべきだと考えています.というわけでそこまで壮大な話でも無いのですが,同人CDを作る時にかかる費用の一例です.アイキャッチにあるCD(トールケース手焼きCD2枚組仕様)を100セット作るのに実費ベースであればこのくらいの金額が必要になるのかーと軽く参考にしていただければ幸いです.

必要なもの:
・Adobe illustrator
・レーベル印刷可能なインクジェットプリンタ
・お金

製作条件

最初の選択肢~プレスか手焼きか

一口にCDを作るといっても,いくつかに場合分けができます.
一番違いがある分け方として,「プレス」と「手焼き」がありますです.プレスはジャケット印刷からキャラメル包装まで色々セットになっていることが多いため,見た目は流通品と変わらない出来映えのものを作ることが可能です.
今回,制作にあたっての条件は「CD2枚組み」「仕上がりはそれっぽくなるように」の2点のみだったので,安くなるように手焼きにしました.
私見では,プレス最大手はポプルスさんだと思います.プレスをする場合の料金は公式ページに載っているものを参考にしてください.

ケースの選択

ケースにも普通のCDケース(ジュエルケース)からDVDケース(トールケース),紙ジャケ,デジパックなど色々なものがあります.普通のCD・DVDケースなら単品で買うこともできますが,他は外注が必須なため,興味がある方は印刷所さんのWebページを色々と見て回ると良いと思います.
今回は安く済ませたかったので,印刷するものが1種類で済むDVDトールケース(CDが2枚入るタイプ)にしました.CDケースの場合,表ジャケット(ブックレット),インレイ(裏ジャケット),サイドキャップ(帯)の3種が揃っていないとそれっぽさはあまり出ません.

部材を揃える

大手量販店などでも取り扱っていますが,私はAmazonで揃えました.

CD-R

値段だけ見ればもっと安いものはありますが,安心の実績と信頼という点では太陽誘電製のThat’s CD-Rがお勧めです.ケースは別に揃えるので,スピンドルケースタイプにしましょう.

200枚/4,459円(送料無料)
@22.3円

DVDトールケース

CDが2枚収納できるものとなると選択肢はやや狭まりますが,Amazonで取り扱っている手頃な値段のものがサンワダイレクト制のみだったので,こちらを購入しました.Amazonレビューではボロクソに叩かれていますが,十分実用に耐えうる品質だと感じました.


100枚/3,480円(送料無料)
@34.8円

OPP袋

作成したCD・DVDを保護する手段としてはキャラメル包装,シュリンク包装,OPP袋などがありますが,前者2つは業務用の機械が必要なため外注するしかありません.少し見た目は落ちますが,個人で製作するのであればOPP袋がお勧めです.一部では透明封筒という名前でも売っているようで,これに入れておけばそのままメール便として発送が可能です.

OPP袋購入にあたり,特にサイズには注意してください
トールケースには実はアマレーとワーナーという2サイズがあります.上記のサンワダイレクトのケースはアマレータイプですので,今回はアマレータイプに対応したOPP袋を購入しました.
とりあえず大きいものを買ってセロテープで留めるという方法もありますが(OPP袋に入れて,マチをセロテープで留めるのは特に同人ショップで多く行われている),あまり見た目はかっこよくありません.

カクケイ フタ付透明OPP袋 テープ付 100枚 DVD用
100枚/525円(送料込み)
@5.25円

ジャケット印刷

ジャケットは家庭用プリンタなどでも作ることができますが,安く高品質なものができますので,納期に余裕があれば外注するのが断然お勧めです.
外注するにせよ自前のプリンタで作るにせよ,イラストレーターなどでデザインをする技術はほぼ必須です.試したことがないため詳細はわかりませんが,外注であれば追加料金を払えばOffice系ソフトで作ったデータも受け付けてくれます.ただし,ソフトウェアの都合上,色(CMYKでなくRGB)やデザイン(レイヤーが無い)面においてかなりの制約がかかるはずですので,素直にIllustrator等のソフトを導入しましょう.

今回はスケジュールが厳しかったので,短納期でも比較的安いところということで,イロドリさんにお願いしました.
なお,印刷は一般に500部前後くらいまではほぼ値段が変わりませんので,余っても使い道があるのであれば多めに刷ると良いと思います.

片面フルカラー200部 2日後出荷/5,200円(初回1,000円割引き適用)
@52円
【参考】7日後出荷なら他の条件は一緒で1,150円

製作工程

部材が揃ったところで,作り方の説明に入ります(実際には発注と同時進行).
CDの中身そのものの作り方(ミックスやマスタリング)はもっと詳しいサイトなどを参考にして下さい.

CDを焼く

業務用ではデュプリケータというものがありますが,そんな大層なものでなくとも,光学ドライブ(DVD-ROMドライブ等)があるパソコンであればCDは焼けます.
焼くソフトも色々なものがありますが,私はiTunesを使いました.データCDとしてもオーディオCDとしても焼けますし,ついでにアーティスト名などのメタデータをデータベースに登録できる(GracenoteのCDDB)のでお勧めです.CDを焼く話とは逸れますが,聴いてくれる人のためにもメタデータはデータベースに登録しておくべきです.

CDを焼くのには(iTunesに限らず)かなりの時間がかかる点には注意しましょう.45分のオーディオCDを100枚作るのに7時間程は必要でした.

CDのレーベル印刷

いくらジャケットなどが素晴らしくてもCDのレーベルが真っ白いままでは片手落ちですので,最悪油性ペンで手書きでもよいので何らかの文字は入れたいところです.
私の場合,家にCANONのiP4500があったので,それを使ってレーベルを印刷することにしました.最後の印刷から2年ほど放置していた代物ですが,問題無く動いて感動しました純正インクを使っているのにこのインクは純正品ではありませんと表示が出たときは叩きたくなりましたが

プリンタに付属していたCDに入っていたらくちんCDダイレクトプリント for CANONというソフトウェアを使ったところ,簡単に印刷ができました.

ジャケット印刷/外注

ジャケットを外注するにあたっては,入稿データの作成が必要です.
大抵の印刷所では規格に応じたテンプレート(Adobe Illustrator形式)を配布していますので,まずはそれをダウンロードしましょう.ほとんどの印刷所ではそこの印刷所テンプレート以外でも入稿を受け付けてくれるとは思いますが,こだわり等なければその都度印刷所のテンプレートを使う方が無難です.

入稿データを作るに当たっての諸注意,たとえば裁ち切りデザインの場合塗り足しをする,文字はアウトライン化する,黒は黒ベタかリッチブラックにする,アピアランスは分割するといった内容はここでは割愛します.各印刷所のWebサイトにも詳しい解説があるため,それらを参考にするのが一番早いでしょう.

デザインは殆どやったことが無いので気合のみで作りましたが,「それっぽくなるデザイン」には大体決まった型があるので,たくさんの実例を見て引き出しを広げるのがいいかと思います.
今回のデザインにあたってはLACCO TOWERの「心懇旅行」を参考にさせて頂きました.

完成

こちらが完成した品です

おまけ:発送

興味がある人全員に直接渡せるとは限らないので,郵送による頒布も考慮しておくと良いかと思います.セブンイレブンやファミリーマートでクロネコメール便として集荷してもらう(160円)方法が一番安く済ませる方法なはずです.
話は少し逸れて,発送するにあたり一番面倒なのは代金の徴収です.送料も溜まればかなりの金額になるので,無料頒布の場合でも送料は注文者に負担して頂きたいところですが,高々数百円の送料を回収するのは意外と面倒な作業です.
そこで私がお勧めするのは「ゆうメール着払い」です.なんとゆうメールは+20円で着払いにすることが可能ですので,所定の手続きを踏めば窓口に行かず,ポストに投函するだけでOK.詳細はゆうメールのページを熟読してください.

発送用クッション封筒

OPP袋に入れているのであればそのまま発送しても良いのですが,やはりどうしてもケース割れが気になります.CDケースに比べDVDトールケースは材質上簡単には割れないのですが,その代わりジャケットはかなり傷つきやすいです.
そこでお勧めなのがクッション封筒です.100円ショップなどでも手に入ることができますが,大量購入であれば単価をかなり安く抑えることが可能です.


クッション封筒 DVDトールケース1枚サイズ 300枚/4,200円
@14円

むすび

以上でCD製作の話は終わりとなりますがいかがでしたでしょうか.これらが少しでも制作の助けになれば幸いです.

Klis Radio 費用まとめ
品目 価格 単価
CD-R 4,459円 @44.6円(2枚)
トールケース 3,480円 @34.8円
OPP袋 525円 @5.25円
DVDジャケット 5,200円 @52円
クッション封筒 4,200円 @14円
合計 17,864円 @150.65円