レギオンズ第四弾環境黒白ソロモン解説

レギオンズ!2019年7月魔杖戦も終わりましたので,持ち込んだ黒白ソロモンの解説をします.黒白ソロモンには従来のグッドスタッフとは異なり,ハイデルガルドをサポートするフリーズやスロウ,あるいは1コストで最大3点軽減できるホーリープロテクションが一切入っていません.代わりにソロモンとグザファンのコンボを入れているため,6コスト目から7点以上のダメージを狙っていけるデッキです.原型は電脳魔杖戦にて試行的に使われていたデッキですが,アグロ寄りに調整を行いました.

  • デッキ
  • 基本的な回し方
  • 採用カード解説
    • 1コストカード
    • 2コストカード
    • 3コストカード
    • 5コストカード
    • 6コストカード
    • 8コストカード
  • 不採用カード解説

デッキ

戦績:
・2019年7月魔杖戦優勝

黒白ソロモン
魔杖戦2019年7月期大会レポート(前編)( http://legions.flipflops.jp/report/4565 )より

基本的な回し方

悪魔や天使属性を持つスキルを並べ,ソロモン+グザファンのコンボに繋げるデッキです.後攻ではマルルンとハイデルガルドを最速で出せる分,また先攻でも悪魔を並べられる分どちらでもある程度以上には強く,手順の選択権を得た場合は相手のデッキに合わせられる強みがあります.

5コスト目時点では優秀なCC0ロードであり,かつ相手が必ず処理をしてくるハイデルガルドやマルルンでクロックしつつ1ターンを凌ぎます.天使・悪魔持ちのカードは脅威の18枚採用という構築上,グザファン配置時効果の全体バーンは最速6コスト時点でも概ね3点以上が狙え,それをソロモンにより踏み倒すことにより6コスト目から7点以上のダメージを狙えるという従来の黒白には無かった打点の伸びが狙えるデッキです.また構築的に難しくはありますが,8コストまで伸びた場合はグザファンでほぼ確実にゲームを終えることができます.今環境は一周回って威圧が効果的な相手が多いため,1ターン目にリトルスカルデビルを中央レーンにアンロックできるかはかなり重要になります.黒赤相手にはリトルスカルデビルとククリ,黒白相手にはククリが比較的刺さりやすいです.グザファンはインプレイ領域にある天使と悪魔を参照するカードですので,タイムラインにさえあればそれがwt4でも問題にはなりません.従って,フリーズで除外さえされなければ,ヴァンパイアバットやリトルスカルデビルがそのまま終盤における1コスト1点カードとなります.wt1にカードが3枚以上重なってしまった場合は自ら除外をしなければなりませんが,少なくとも6コストの時点ではまず除外することにはなりません.

採用カード解説

以下,採用カードそれぞれの役割について解説します.また,ときたま出てくるカードを引ける確率は超幾何分布により算出しています.もちろんこれは理論上の数値であり,実践においては数戦連続で3枚のキーカードがボトムにあったということは大いにありえますので,参考程度にとどめておいた方が無難です.

1コストカード(9枚)

1コストミニオン9枚採用の場合,交換を含めた初手7枚のうちに1コストミニオンが1枚以上含まれる確率は85.6%です.

リトルスカルデビル (3枚)

リトルドラコの代わりにあずきあらいが採用されがちな今環境においては,かなり刺さる相手もある威圧2持ちの2/1ミニオンです.採用率が高めの対策カードはホーリープロテクション,ホーリーウェイブ,下忍カスミ,中忍カスミ,いたずらピクシーなどですが,あずきあらい,アイゼン,シグレ,その他2コスト以下のミニオンには相手のミニオンを止めつつマスターにダイレクトにアタックできるという利点を持ちます.グザファンの打点を伸ばす悪魔属性持ちでもあるため,序盤で手札に来たら迷いなくアンロックしてよいでしょう.ヘヴィスイングやファイアフィストの妨害になるため,原則として中央レーンに配置します.最終盤においてはよく行われる低コストミニオンに強襲を付与して盤面一掃が威圧によりできないため,コアが余れば他の2種の1コストミニオンより刺さりやすいです.

ヴァンパイアバット(3枚)

あずきあらいや下忍・中忍カスミ1体ではブレイクされず,相手ミニオンが存在する限りはチャンプアタックでも1点が取れ,さらには悪魔属性持ちなのでグザファンの打点向上にも繋がる優秀なミニオンです.従来であれば3積されたサクラ,ルサルカの伝令,新緑の精霊といった1/1ミニオンを一方的にブレイクできる強みがあります.今環境であれば黒赤に採用されるジャック・オ・ランタンに対して強いです.

ククリ(3枚)

効果ダメージ無効持ちにより,黒赤のデスクラウド・フラッシュファイアによる全体バーン,黒白のハイデルガルドのおまけ1点に耐性がある2/1ミニオンです.対面に出てきたミニオンをホーリーウェイブやダークフレイム,モラクスで処理できればかなり良い展開になるでしょう.ただし,終盤においては大して仕事はしないため,基本的には他の1コストミニオンを優先してアンロックします.ただし,まともな処理札があずきあらい程度となる黒赤に対しては最優先で配置すべきです.

2コストカード(8枚)

2コストカードはフリー枠も含めロード以外では5枚採用しています.1コストのミニオン9枚と合わせると14枚となりレギオンズのデッキとしてはかなり少なめですので,2ターン目までに引ける9枚において,1コスト・2コストカード共に1枚も引けず2ターン連続でドローゴーする確率は2.53%とかなり高めです.ただし,いずれも1枚は引けていれば相手の動きを止めるのに優秀なカードですので,事故は事故と割り切っていとは思います.

ホーリーウェイブ (3枚)

基本黒白としては前のめりな本デッキにおいて,一番防御よりなカードです.ただし,フィールドにいるククリ,スタンバイにあるヘヴィスイング,ファイアフィスト,ホーリープロテクション,ナッツクラッカーなどの強力なスキル,その他2コストミニオンなどと1対1,場合によっては1対2交換できるため,圧倒的アドを取られないために必須となります.終盤においても6コストからのハイデルガルドとのシナジー,リバースカードの処理などに役立ちます.

闇精シェイド(2枚)

フリー枠です.色々とカードを試していましたが,1・2コストカードが引けず負けてしまうことを考え,このカードに行き着きました.属性は精霊であるためグザファンとのシナジーはありませんが,同一レーンの相手ミニオンのATKを-3できることにより,マサムネなどの大型ミニオンの処理がかなり楽になります.特に,ATK3以上はマルルンと,ATK4以上はハイデルガルドと相撃ちになっていましたが,シェイドをうまく配置できれば一方的に処理することが可能となります.どちらのロードも無視するわけにはいきませんので,相手の勢いを大きく削ぐことになるでしょう.また,中央レーンに配置すれば赤白などは剣術スキルを使わざるをえないため,バックダメージ2点の仕事はします.

黒魔女『マルルン』(3枚)

現時点で最も壊れているCC0ロードです.コストを3にする,任意ユニットに2点効果は配置時のみにする,強襲をつけないなどのいずれかを行ったとしてもなお採用されてもおかしくないでしょう.終盤であれば2コスト2点,あるいは3コスト3点のカードとして使い捨てもでき,もし処理されずターンが帰ってきた場合はそれだけで2点を与え,強襲により最悪相撃ちだったとしても2点は奪っていくという,場合によってはハイデルガルドを超えるカードです.1点のしょっくぼるとは任意起動のため,ハイデルガルドとは違いコストをきっちり使い切ることも楽です.また,余った2~3コストで悪魔を並べたり,時空乱流を撃ったりすることができるため,とにかく汎用性があります.フリーズもスロウもデッキに入っておらず,アーサーのようなハイデルガルドの速攻を封じるカードも今環境には多いため,キープもマルルンを優先する方がよいかもしれません.

3コストカード(8枚)

ゴモリー (3枚)

強力だけれどもwtが概ね3だった黒白に採用される各種カードを加速できる,最も強いソードダンサーです.ただし,従来の黒白であれば武具精霊カンショウ・バクヤやホーリープロテクション,中忍カスミなどのシナジー相手がいましたが,本デッキにはいずれも入っておりませんのでそこまで強力というわけではありません.しかし,悪魔属性持ちであるためグザファンの打点には繋がるため,とりあえず3ターン目にアンロックしても損はないでしょう.また,3ターン目にホーリーウェイブを使い,4ターン目にゴモリーをアンロックしホーリーウェイブを加速することで5ターン目の先攻最速ハイデルガルドにホーリーウェイブを重ねる動きは非常に強力なため,積極的に狙ってもいいも思います.

ダークフレイム (3枚)

3コストで2点が出るカードです.悪魔属性持ちですので,グザファンとのシナジー重視のため採用しています.加速対象がいないときはゴモリーより優先されることも多いでしょう.先攻3ターン目に撃つと妨害がない場合先攻6ターン目にスタンバイに戻ってきますので一気に押し切ることにも寄与します.

時空乱流(2枚)

赤緑やヒノカグツチ,シノに対して特攻となるロード処理カードです.このカードでロードを処理している時点で相手が後続ロードを握っている限り押されていますが,CS2019夏から注目され始めたアーサーが着地してしまうとこのデッキはほぼ無力であるためやむを得ず2枚採用しています.黒白という時点で赤緑以外のデッキは前述のロードをアンロックすることを避けるため,デッキに入っていなくても仕事をするという意味では非常に希有なカードでしょう.

4コストカード(6枚)

モラクス(3枚)

リトルスカルデビルが刺さっている場合などはアンロック時に自傷3点を与えてしまうカードですが,コスト4以下のミニオンを配置時にブレイク,黒属性を持つロードがいれば3/4ミニオンに化けるなど,特に先攻4ターン目において強力なミニオンです. グザファンを除いても黒いロードは3種9枚入っていますので,概ね速攻は付与できるでしょう. 例によって悪魔属性持ちですので,グザファンの打点にも寄与します.3/4スタッツはイフリータやマルルンを一方的に倒すことができることも高い評価ポイントです.また,6コスト目においてはマルルンと高いシナジーを形成します.ただし,相手にライフが勝ってしまうと自傷3点を食らいますので,特にライフが同じ~1点差のときはモラクスを先にアンロックするように注意しましょう.速攻付与の判定はバクヤなどと異なり常時ですので,先出しでも問題なく速攻が付与されます.なお,悪魔属性持ちのカードが運悪くアンロックできなかったときや,徹底的にタイムライン除去されグザファンの配置時全体バーンの打点が伸びないときは,3枚コンボになりますがグザファンのもう一方の配置時効果で手札からモラクスをコスト踏み倒しで配置することにより,自傷3点は受けず,相手の4コスト以下のミニオンをブレイクし,さらにソロモンと合わせ7点速攻を与えることが可能です.

ハイデルガルド(3枚)

タイムラインという特徴を持つこのゲームにおいて,アタック時に任意のカードをwt+2し,さらに任意ユニットに対し1点ドレインできるという非常に強力なロードです.経験上,相手の最速ハイデルガルドを処理せずターンを返し,勝てた記憶が存在しません.カード操作はアタック時の効果なため,速攻を封じられた有事においても相手ミニオンさえいればマスター効果で強襲を付与して無理矢理発動させることも可能です.ただし,このデッキにおいてはシナジー相手がホーリーウェイブしか存在しないため,フリーズなどを積んだ黒白と比べると大量回復は望めません.

5コストカード(3枚)

サキュバス (3枚)

黒赤・黒白メタを考え従来はマサムネのスロットでしたが,HP5であれば効果ダメージ無効の有無は耐性として大して意味を持たないこと,場に出た時点で2点ドレインと仕事はすること,悪魔属性持ちであることから採用しています.ただし,今のところは5コスト以上ではマルルンやハイデルガルドを引けているため大して使えてはおらず,場合によっては1~2コストのカードと入れ替え安定性を増すとよいと思われます.

6コストカード(3枚)

先攻6ターン目までの間にソロモンを1枚以上引ける確率は82.0%,後攻5ターン目では76.7%です.しかし,グザファンが揃うまでは原則としてアンロックは我慢しましょう.

魔術王『ソロモン』 (3枚)

(少なくとも私の周りでは)使えるようで使えないとみなされてきたソロモンですが,専用デッキを組み,グザファンとの2枚コンボができればバウンス+6点のパーシヴァル,プルモーなどの1~2点+本体6点+回復のミモザなどと並びうる,全体3~4点バーン+本体4点速攻という非常に強力な立ち位置をついに見つけました(なお私の知る限り,最初の考案者はMさんです).本デッキでは採用していませんが,アイオーンであれば6コスト以下のロードと任意のミニオンを1体ずつ処理できるなど,黒白においてはかなり応用が聴きます.また,グザファンはインプレイ領域にある悪魔・天使分の全体バーンの配置時効果を使うのがほとんどの選択となると思われますが,もう片方のミニオン踏み倒しにより手札からモラクスやサキュバスを配置することも考えられます.特に,モラクスは相手の4コスト以下のミニオンを処理しながら速攻を得るため,あまりないとは思いますが例えばアークエンジェルのような中央レーンにある邪魔なミニオンを処理しつつ7点を出すことも可能です.一方で,ソロモンが絡まないと本デッキは火力不足となりますので,アンロックするタイミングは正確に見極めるようにしてください.また,グザファンと違い本体は悪魔や天使ではありませんので,純粋にフィールド,スタンバイ,タイムラインにある悪魔属性を持つカードの分だけダメージを与えることには注意しましょう.

8コストカード(3枚)

黒炎の天魔『グザファン』(3枚)

従来の黒白グッドスタッフであれば8コアまで伸ばしたときのフィニッシャーでしたが,本デッキにおいてはほぼ完全にソロモンにより効果を踏み倒して得るためだけのカードです.ソロモンをアンロックした時点でまず8コアまでは伸びませんが,ソロモンを引けなかった場合などはひたすら他のロードやサキュバスで遅延させ,グザファンに繋げることになると思います.ドローソースが存在しないこのデッキにおいては,グザファンを素出ししたときに15枚も入っているとはいえども悪魔属性を持つミニオンを配置できないことの方が多いですが,もう片方の全体バーンのみで6点以上のダメージを与え,合計10点を与えることは容易です.もしモラクスを踏み倒しできるのであれば10点強の頓死も可能でしょう.

不採用カード解説

色々と試してみたり,脳内プレイにより抜けていったカードの解説です.ただし,いくつかはメタによってはシェイドや時空乱流と交換することもあり得るとは思います.

スロウ

序盤においては盤面に一切影響を及ぼしませんが,剣術スキルなど打点に直結するカードを下げることで中盤以降の相手のプランを大きく狂わせることのできるカードです.特に,覚醒ターンにおけるハイデルガルド+スロウの組合せは非常に強力と言えます.ただし,本デッキにおいてはより打点に直結するカードの方が欲しかったため抜きました.

魔術機械の研究

ソロモンとグザファンを両方揃えたい本デッキにおいて,貴重なドローソースとなるキャントリップです.しかし,タイムラインに配置できるカードがダークフレイムしかなく,それをする意味もほとんどないため抜きました.

ホーリープロテクション

終盤でも腐らない防御カードです.ギリギリのライフレースをしている際,この1コストカードでゲームがひっくり返る可能性があります.しかし,打点重視のため本デッキでは採用していません.

中忍カスミ

終盤で相手のホーリープロテクションを割ったり,ゴモリーとのシナジーもあったりとかなり強力なミニオンです.下忍と違い,1/1ミニオンとしてフィールドで腐らない点も評価できますが,マサムネなどの存在を考えシェイドになりました.ただし,シェイドの代わりに採用してもよいとは思います.

お守り天使ミュゼル

グザファンの打点向上に繋がる2コストの天使ミニオンです.しかし,バクヤやホーリープロテクションのような有用な加速対象が入っていない本デッキに入れる必要性は感じられません.

フリーズ

スタンバイのカードを両方どかしたり,wt3-4のカードを除外したりと非常に強力なアーツで,特に覚醒ターンのマルルン+フリーズや6コストでのハイデルガルド+フリーズは非常に強力ですが,これ以上ロードやアーツを増やすと事故率が上がるため残念ながら枠がありません.

武具精霊カンショウ・バクヤ

ハイデルガルドとマルルンで誘発する3点火力で,後攻3ターン目にアンロックし返しで処理されてもゴモリー+マルルンなどが考えられるなど,今環境においては黒白打点向上に役立つミニオンですが,ソロモンが黒単色ロードなので抜きました.

サモンマジック

サキュバスやモラクスなど有用な釣り相手は入っていますが,これ自体は天使属性でも悪魔属性でもないため対して強くありません.

アンサモン

マサムネ対策に入れてもいいと思います.このデッキでは事故が怖いのでシェイドを入れています.

九命の猫又ミヤビ

ニムエやフラッシュファイアなどの裏目はありますが,依然として強力なミニオンです.グザファンで相手の盤面を更地にするこのデッキでは場に残る再生ミニオンということも評価ポイントですが,4コストミニオンとしてはモラクスの方が確実に有用です.

武具精霊マサムネ

環境トップの黒赤・黒白どちらにも強いミニオンですが,打点を考えサキュバスに変わりました.黒赤・黒白相手の倒されにくさということではHP4効果ダメージ無効とHP5はそこまで大きな違いはないと思います.

黄泉渡しの少女

マサムネなどを対処するカードとして,アンサモンと並んで採用が検討されるミニオンです.同一レーンであれば無条件でブレイクできるため,アンサモンでは対象に取れない7コスト以上のミニオンや,領域移動無効,あるいは結界持ちも処理できます.悪魔だったら採用していたかもしれません.

永遠なる騎士王『アーサー』

HP6,効果ダメージ無効持ちによりかなり処理されにくいロードであり,特に黒赤に対しては回答になり得ます.もし「白属性を持たない」という一文が無ければ黒白ミラーにも強かったので採用していたかもしれません.

天界の光竜『アイオーン』

ソロモンから出てくるカードとして,ロードとファッティなミニオンを同時に処理できるカードです.ソロモン+アイオーン以外だと積む盤面はあり得ますが,ソロモンは守りではなく攻めに使いたいことと,アイオーン素出しはそのターンの打点には一切直結しないため抜けました.コア勝ち狙いのデッキなどを組むのであればありかもしれません.

以上,第4弾環境での黒白ソロモン解説でした.何かご質問があればTwitterでご連絡ください